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豊田佐吉

志を立てた以上、迷わず一本の太い仕事をすればいい。
 
わしは他人よりよけいに創造的知能に恵まれているわけではない。
すべて努力の結晶だ。
世間は、その努力を買ってくれないで
『天才だ』と言って片づけてしまう。私には遺憾千万。
 
仕事は自分で見付けるべきものだ。
また職業は自分でこしらえるべきものだ。
その心掛けさえあれば、仕事、職業は無限にある。
わしの今日あるのは、天の心というものだ。
それなら、こちらも社会へ奉仕せにゃいかん道理だ。
『誠実』というその字を見ろ。
言うことを成せという言葉なんだよ。
 
発明発見とか、創意工夫の世界は、あくまでも広大無辺で、
今まで人間の踏み込んだ地域は
九牛の一毛(多くの牛の中の1本の毛)にも達していない。
その大きな未開の秘庫は「早く扉を開けてくれ」と、
中からいつもわれわれに呼びかけている。
しかもその扉を開く鍵は、
いつも、どこにも、誰の足下にも転がっておるのである。


 

荀子と金沢文庫

「出版物として初めて刊行されたのは、北宋神宗の熙寧元年(1068)であり、南宋孝宗の淳熙八年(1181)に台州知事唐仲友が復刻したという。この宋代の刊本が宋本である。しかしこれは中国で散逸し、日本の金沢文庫に一冊のみ残された。この写本が影宋台州本である。」
『荀子』の刊本と注釈の歴史 | 新読荀子